人生は、中断したっていい

本が読めない人でも大丈夫な読書案内

メンタル

世界の奥でつながっている物語

「しかしホシノさん、ナカタはここのところよく夢に見るのです。夢の中ではナカタは字が読めます。何かの加減で字が読めるようになったのであります。ナカタはもうそれほど頭が悪くありません。ナカタは嬉しくて、図書館に参りまして、本をいっぱい読んでい…

女の子の不器用な跳躍

あなたが愛を投げる。私は愛が投げ込まれたことを知らない。 赤ん坊は羊水の海に浮かんでいて、一匙の愛が増えたところで気づかないだろう。 どうやらあなたは自分が傷ついたという記憶に襲われてしまっていて、視界は靄に囲われており、そのドームの中で自…

ゾウリムシ社会とJ.ラカン

私は、私自身を示す言葉を行使する者とはなれない、私自身は私の価値を、もしくは私がその一部であるところの言語世界を、創造できない。(p.290)『ラカンの精神分析』 朝と昼の合間。出勤や通学の人の波と出会うこともない、ブランチの時間帯。駅に向かう…

居場所のない社会と、自分の<未来の像>の話

想像してみてほしい。あなたが17とか18の歳で、この先のことは何も決まっておらず、過去からも未来からも完全に切り離された更地に立つことになったとしたら。 少し別のシナリオを考えてみてもいい。たとえば私に15歳から18歳くらいの子供がいて、彼か彼女が…

生きることの<不安>と、生きるための具体性

教室にいられなくなって校舎を飛びたしたのは、高校三年の春学期が始まって間も無くのことだったが、実はそれに遡ること数ヶ月前から、水面下で異変は起こっていた。 高校時代の私は一応部活に所属していたのだが、吹奏楽部の副部長に生徒会の議長にという忙…

破茶滅茶に生きるために、あなたは傷ついてはいけない

外の気温もまだまだこれから暑くなろうとする季節。のんびりしている田舎の高校生が漸く受験勉強の熱を上げていこうとしている頃、自分の時計だけ短針も長針も狂い始め、完全に止まってしまうのも時間の問題だった。私はあの年、ずっとひんやりとした空気に…

兎の穴に落ちた日のこと

前回、私は人生の絶妙なタイミングで大きく斜めの方向に舵を切ってしまった人間だ、と書いた。だがそれは、かなり格好をつけた言い方で、実際に起こったことの様相はだいぶ異なる。「斜めの方向に舵を切る」というと水平方向のどこか、あるいは上空に的を定…